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【Yamaya's Radio】純粋さが引き寄せた奇跡 - 総合格闘家 大山峻護さんの事例

更新日:4月2日

奇跡は偶然ではなく、必然だった

みなさんは「奇跡」と呼べる体験をしたことがありますか?

確率論的にあり得ないような出来事が、目の前で現実になる瞬間。そんな体験は稀かもしれません。

しかし、私が目撃した奇跡は、偶然ではなく「純粋さ」という力が引き寄せた必然だったのです。


私、山家正尚はメンタルコーチとして、アスリートや経営者の夢実現をサポートしています。

2005年、ある総合格闘家との出会いが、私の人生観と指導哲学を根底から変えることになりました。

その体験は今でも鮮明に記憶に残っており、私のコーチングアプローチの礎となっています。


「不可能」を目標に定めた男

2005年、総合格闘技界のスター選手だった大山峻護さんとメンタルコーチング契約を結びました。

彼との最初の面談で、私は彼の目に宿る特別な輝きに気づきました。それは単なる闘争心や競争心ではなく、純粋な情熱の光でした。


彼の夢は壮大でした。「大晦日のK-1ダイナマイトで、世界王者ピーター・アーツと戦い、勝利する」


格闘技ファンならご存知のように、当時これは常識では考えられない対戦カードでした。

寝技の大山選手と、立ち技の絶対王者アーツ選手。そもそもこの二人が対戦すること自体が奇跡に近かったのです。

多くの格闘技専門家は、このようなマッチメイクが実現する可能性は極めて低いと考えていました。

異なるルールセットで戦ってきた二人の選手が対戦することは稀であり、特にアーツ選手のような世界的スターが大山選手と戦う理由が見当たらなかったからです。


しかし彼は単に「アーツと戦いたい」とは言いませんでした。彼のゴール設定はさらに具体的でした。


「K-1ダイナマイトに出場し、ピーター・アーツと戦い、足関節で1分以内に勝ち、コーナーに上がっておたけびをあげ、トロフィーにキスをし、リング上でみんなと抱き合う」


この目標設定の詳細さに、私は最初驚きました。多くのアスリートは「勝ちたい」という漠然とした目標しか持っていません。しかし大山選手は勝利のシーンを映画のワンシーンのように具体的に描いていたのです。後に私はこの「具体性」こそが、奇跡を引き寄せる重要な要素だと理解することになります。


純粋さを磨くメンタルトレーニング

毎週の電話コーチングで私たちが取り組んだのは、単なるモチベーションアップではありません。「純粋さ」を高めるトレーニングでした。


この「純粋さ」とは、目標に対する疑念や不安、迷いを一切持たない状態を指します。それは子供のような無邪気さではなく、戦略的に構築された強固な精神状態です。


このトレーニングの本質は次の3点です。


1.鮮明なイメージの定着

目標達成時の感覚、音、光景を脳に刻み込む。

私たちは毎週、大山選手が描いた勝利のシーンを細部まで想像するエクササイズを行いました。

リングに立つ感覚、観客の熱気、アーツ選手との対峙、そして勝利の瞬間の興奮まで、すべてを感覚レベルで体験させるイメージトレーニングです。


2.環境の最適化

時間の使い方、交友関係、日常の一つひとつを目標達成に適したものに変えていく。

大山選手は夢を実現するために、自身の生活環境を徹底的に見直しました。共に過ごす人々、トレーニングの質、食事内容、睡眠の質まで、すべてが目標達成という一点に向けて最適化されました。


3.ノイズの徹底排除

疑念や不安という「雑音」を意識から取り除く。

これは最も難しい課題でした。周囲からの「アーツとは戦えないだろう」という声、「格闘技の世界ではそんなマッチメイクはあり得ない」という常識、そして自分自身の中に生じる不安。これらの雑音をすべて排除し、純粋な信念だけを保つトレーニングを重ねました。


これは心理学的に言えば、思考のエネルギーを分散させず、一点に集中させるプロセスです。分散したエネルギーは弱く、集中したエネルギーは現実を変える力を持つという原理を応用したものでした。


挫折と不屈の純粋さ

毎週のトレーニングを重ねるなか、大山選手の集中力と信念は日に日に強くなっていきました。

彼は日々のトレーニングの中で、アーツ選手との対戦を想定した練習を続けていました。


しかし、このような強固な信念とトレーニングでも、現実は厳しいものでした。

ピーター・アーツ選手は別の選手との対戦が決定しました。ニュースを聞いた瞬間、多くの人なら目標を修正するでしょう。「今回は無理だった。次の機会を待とう」と。

私自身も彼に目標の修正を提案しようかと一瞬考えました。しかし、電話越しに聞こえた彼の声には、挫折の影すらありませんでした。


それどころか、12月の初めに沖縄に合宿に行くと言うのです。

私は思わず、「この時期に沖縄合宿ですか。」と尋ねました。


すると、彼は言いました。

「はい、アーツとやりますから。平仲さんのジムでアンディ・フグが寝泊まりしていたところでトレーニングをさせてもらいます。そして、彼のエネルギーをもらってきます。」


若くして白血病で亡くなった元K-1チャンピオン、アンディ・フグ選手。彼の魂が宿るジムで、大山選手は自分の夢に向かって純粋に突き進みました。「アーツと戦う」という現実には存在しない未来を、彼は一ミリも疑いませんでした。


彼の言葉を聞いたとき、私は彼の純粋さの深さに衝撃を受けました。それは単なる楽観主義ではなく、現実を創造する力を秘めた純粋さでした。彼は沖縄での合宿から戻った後も、一切のブレなくトレーニングを続けました。周囲の人々が「現実的な」目標に修正するよう勧める中、彼だけは自分のビジョンを信じ続けたのです。


奇跡の瞬間

12月も後半に入り、大晦日まであと9日というとき、突然の電話が彼のもとに入りました。格闘技イベントのマッチメーカーからです。電話の内容は信じられないものでした。


「ピーター・アーツの対戦相手が怪我で試合できなくなった。代わりに大山くんやってくれないか」


彼の答えは即座でした。「はい、やらせてください。準備はできています」


この電話があったとき、彼は何の驚きも見せませんでした。まるで最初からこうなることを知っていたかのようでした。一方、私は震えるほどの衝撃を受けました。彼の純粋さが現実を動かした瞬間を目の当たりにしたからです。


そして大晦日、私はセコンドとしてリングサイドに立ち、信じられない光景を目の当たりにしました。

試合開始からわずか56秒、大山選手は本当に足関節技でアーツ選手を下したのです。


そして彼は、事前に描いていた通りにコーナーに上がっておたけびをあげ、トロフィーにキスをし、リング上でチームメンバーと抱き合いました。


彼が描いた未来が、一字一句違わず現実となった瞬間でした。格闘技の歴史に残る大番狂わせであると同時に、人間の純粋な信念の力を証明する出来事となりました。


奇跡を引き寄せる「純粋さ」の力

この体験から私は重要な教訓を得ました。

人間の「純粋さ」には、物理法則さえも曲げるような力があるということを。

科学的に説明することは難しいかもしれませんが、大山選手の純粋さが現実を変えた事実は否定できません。


大山選手が持っていた純粋さとは、次のような要素から成り立っていました。


  • 揺るぎない信念

    不可能を可能と信じる絶対的な確信。

    外部からの否定的な声に一切影響されない強固な心。

  • 焦点の明確さ

    目標に対する鮮明で具体的なビジョン。単に「勝ちたい」ではなく、勝利のプロセスと瞬間を細部まで描き切る能力。

  • 一貫した行動

    信念と行動の完全な一致。

    思考と行動に矛盾がなく、日々の選択すべてが目標に向かって集中している状態。

  • 完全な準備

    チャンスが訪れたときに即座に対応できる準備状態。機会が来ることを確信し、その瞬間のために万全の準備をしておく姿勢。


現代科学では説明しきれない現象かもしれませんが、この体験は私のコーチング哲学の核となりました。

そして、大山選手との経験から生まれた「純粋さの力」という概念は、今のセルフアカデミアというプログラムでも中心的な教えとして伝え続けています。


日常に奇跡を引き寄せるために

大山選手の物語は特別なものに思えるかもしれません。しかし、この「純粋さ」の原理は、私たち一人ひとりの人生においても応用できるものです。


日常生活の中で純粋さを高める方法として、以下の実践をお勧めします。


1.目標の具体化

願望を抽象的なレベルではなく、五感で体験できるレベルまで具体化する。

2.日常の選択を意識する

毎日の小さな選択が、あなたの目標に近づくものか遠ざかるものか意識する。

3.否定的な声を遮断する

自分の内側にも外側にも存在する「それは無理だ」という声に耳を貸さない習慣をつける。

4.準備を怠らない

チャンスは予告なく訪れる。その瞬間に対応できるよう、日々準備を重ねる。


あなたの中にある「純粋さ」

目の前に「不可能」と思える壁があるとき、私たちはしばしば「現実的」であろうとします。


目標を下方修正し、可能性の範囲内で満足しようとする傾向があります。


しかし、大山選手の物語が教えてくれるのは、真の現実とは私たちが心に描くものなのかもしれないということです。


大山選手の物語から学べることは、目標達成の本質は技術や知識以上に、自分自身の「純粋さ」にあるということです。


疑念を手放し、目標に向かって純粋に行動する時、私たちは自分で思っている以上の力を引き出せるのです。


皆さんも、自分の夢に対して「純粋」になれる瞬間を大切にしてください。そこに奇跡を引き寄せる力が宿っているのですから。


*この感動の瞬間は今でもYouTubeで「大山峻護 ピーター・アーツ」と検索すると見ることができます。純粋さが奇跡を起こす証拠として、ぜひご覧ください。*

出典:big fan


出典:水内猛のオフサイドぎりぎり!

※6:20辺りから、当記事のエピソードが語られています。

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2006年7月7日 株式会社プロコーチジャパン として法人化

 
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