私は、2004年にプロコーチジャパンを創業してから、多くの経営者、指導者、アスリートの方々と向き合ってきました。
2006年の法人化から20周年という節目に、過去を振り返るだけではなく、これからの経営を考える場をつくりたい。
その思いを込め、2026年10月31日に「RESONANCE SUMMIT 2026 ~経営の新しい羅針盤~」を開催しました。
9月5日のFacebookでは、「目に見える現実は、どこから生まれているのか?」という問いを書きました。会社の数字や成果の奥には、経営者の思い、言葉、信頼、組織の文化がある。そのつながりを、改めて皆さんと考えたいと思っています。
なぜいま、「答え」ではなく「羅針盤」なのでしょうか。
地図どおりに進めない時代

地図には、道と目的地が描かれています。
条件が大きく変わらなければ、地図を見ながら効率よく進むことができます。
しかし、経営の現場では、昨日まであった道が今日は使えなくなることがあります。技術が変わり、働く人の価値観が変わり、顧客が求めるものも変わります。過去の成功事例をそのまま当てはめても、同じ結果になるとは限りません。
このようなときに必要なのは、完成した地図を持つことだけではありません。
現在地を見失わず、自分たちがどの方向へ進みたいのかを確かめ続けることです。
羅針盤は、進む道を一つに決めてくれるものではありません。迷いをなくすものでもありません。それでも、方向を確かめ、選び直すための基準を与えてくれます。
経営の羅針盤は、外から与えられるものではない

経営には、数字や市場データ、専門家の知見が欠かせません。
同時に、それらをどう受け取り、何を選ぶかは、経営者や組織の価値観に委ねられます。
何のために事業をするのか。誰に、どのような価値を届けたいのか。成長の過程で、何を守り、何を変えるのか。
こうした問いへの答えは、外から借りてくることができません。
他社の成功事例を学ぶことはできます。しかし、自社にとっての適切な未来は、自分たちの内側にある思いや、目の前の人との対話を通じて見つけていくものです。
経営の羅針盤とは、立派な理念文を掲げることではなく、迷ったときに戻れる判断の軸を持つことではないでしょうか。
いま迷っている判断から軸を確かめたいときは、「意思決定のために心を整える三つの問い」で、事実、自分の解釈と感情、実現したい未来を分けて考える方法を紹介しています。

「見えない領域」を、経営から切り離さない

経営では、売上や利益、顧客数など、測れるものが重視されます。
一方で、実際の意思決定には、信頼、直感、関係性、覚悟、違和感といった、簡単には数値化できないものも関わっています。
見えないものを、すべて神秘的なものとして扱う必要はありません。反対に、測れないからといって、存在しないものとして扱う必要もありません。
大切なのは、それが日々の判断や組織の行動に、どのように表れているかを丁寧に見ることです。
言葉では挑戦を掲げていても、失敗を責める文化になっていないか。顧客を大切にすると言いながら、短期の数字だけで判断していないか。経営者の思いと、幹部や現場が見ている現実の間に距離はないか。
会社の始まりにあった「こんな会社にしたい」という思いは、いま、どのような言葉や行動になっているでしょうか。私は、見える結果と、その手前にある見えない領域をつなげて考えることが、これからの経営に必要だと考えています。
一人で答えを出さないための対話

責任ある立場ほど、最後は自分が決めなければならないと感じます。
その責任を手放すことはできません。ただし、すべてを一人で考える必要はありません。
異なる経験を持つ人の話を聞く。自分とは違う問いに触れる。言葉にしてみることで、自分が何を大切にしているのかに気づく。
対話は、誰かから正解を受け取るためのものではありません。自分の中にある判断の軸を、より鮮明にするためのものです。
このイベントでは、言葉、場や文化、愛など、普段は数字で捉えにくいものが経営にどう関わっているのかを、体感し、考える場をつくりたいと思っていました。
登壇者の実践や参加者の問い、パネルディスカッション、対話を通じて、多角的にテーマを深めることを目指したものです。
誰かの問いが、自分の中にあった言葉にならない感覚を照らすことがあります。誰かの実践が、自分たちにとっての次の一歩を考えるきっかけになることもあります。
20周年は、次の問いを始める節目

20年という時間の中で、社会も経営環境も大きく変わりました。
それでも、人が自分らしく力を発揮すること、人と人が対話を通じて可能性をひらくことの大切さは、変わらないと感じています。
節目は、過去の答えを確定するためではなく、次の問いを始めるためにあります。
これからの経営で、私たちは何を大切にするのか。
変化の中でも、自分たちらしい方向をどのように確かめていくのか。
あなたにとっての「経営の新しい羅針盤」は、何を指しているでしょうか。
イベントに込めた思いを書いたFacebook投稿(9月5日)
いまの経営で、大切にしたい軸を確かめる
変化の中で何を守り、何を変えていくか。その問いに一人で答えを出そうとしている方は、初回オリエンテーションで、いま向き合っている判断をお聞かせください。外から正解を受け取るのではなく、ご自身の中にある経営の軸を言葉にする対話を体験していただけます。
経営の意思決定、リーダーシップ、組織や部下との関わりを相談したい方。 申込画面で選び直すこともできます。

