今週の仕事を確認し、困っていることを聞き、上司から助言をする。気がつくと、面談の時間が終わっている。

定期的に1on1を行っていても、「普通の業務報告と何が違うのだろう」と感じることはないでしょうか。

もちろん、進捗を把握することは必要です。ただ、報告を終えることが毎回の目的になると、本人が何を学び、どのように仕事を進めていきたいのかを考える時間は、後回しになりがちです。

1on1の回数を増やす前に、その時間を誰が、何のために使うのかを見直してみたいと思います。

報告が必要な時間と、本人が考える時間を分ける

1on1で、業務の話をしてはいけないわけではありません。成長の手がかりは、日々の仕事の中にあります。

違いは、業務をどの角度から扱うかです。

「案件はどこまで進みましたか」は、状況を把握する問いです。「その案件で、いま自分が一番考えたいことは何ですか」は、本人が扱いたい課題を確かめる問いです。同じ案件でも、話す内容が変わってきます。

たとえば、「顧客への説明が遅れている」という報告から、「相手にどこまで言ってよいか迷っている」「自分の説明の仕方を変えたい」といったテーマに移れるかもしれません。

進捗だけなら、事前の短い共有で足りる部分もあります。面談で扱う必要があるものと、別の方法で確認できるものを分け、考える時間を残します。

緊急の業務対応が必要な日には、その対応を優先して構いません。本人が考えたかったテーマが残ったなら、「この話は金曜日に続きを聞きましょう」と、必要な時間を改めて確保します。報告や対応で終わったことに気づき、次の機会につなげることが大切です。

「何かありますか」だけで、議題を任せない

本人のための時間だからといって、何の準備もなく「自由に話してください」と伝えると、かえって困らせてしまうことがあります。

仕事の相談をするべきか、将来の話をするべきか。まとまっていない話でもよいのか。その前提が分からなければ、無難な報告になりやすいでしょう。

面談の前に、「今週の仕事で、少し立ち止まって考えたい場面を一つ選んできてください」と伝えてみます。うまくいかなかったことだけでなく、手応えのあったこと、これから試したいことでも構いません。

始まりには、「今日は何が整理できると、この時間が役立ったと感じられそうですか」と確かめます。

上司から伝えたいことがある場合も、隠さずに時間の使い方を相談します。「私からは最後に五分ほど、来月の役割について相談したいです」と先に置けば、途中で急に議題を奪う形を避けられます。

本人に議題を持ってもらうことと、一人で準備させることは違います。話し始めるための手がかりは、上司から用意できます。

答えを渡す前に、どんな支援が必要かを知る

相談を受けると、経験から解決策が浮かぶことがあります。役に立ちたいからこそ、すぐに伝えたくなるものです。

ただ、相手が求めているのは、いつも助言とは限りません。考えを整理したい場合もあれば、判断に必要な情報や、他部署との調整を必要としている場合もあります。

「いまは、一緒に整理することと、具体的な案を聞くことの、どちらが役立ちそうですか」と確かめてみてください。

先ほどの「顧客にどこまで言ってよいか迷っている」という相談なら、説明の工夫より先に、会社として伝えてよい範囲を上司が確認する必要があるかもしれません。知識が足りないなら情報を渡す。権限がないなら判断先を整える。すべてを「あなたはどうしたいですか」と返すと、本人だけでは解決できない問題まで抱えさせてしまいます。

反対に、本人がすでに考えている案があるなら、その理由や別の可能性を聞く時間を取れます。

1on1をコーチングらしい形にすることより、目の前の人が次に進むために何を必要としているかを見極める。その順序を大切にしたいものです。

最後に、本人の一歩と上司の支援を分けて残す

「すっきりしました」で終わる面談にも価値はあります。それでも、仕事につなげたいテーマなら、最後に具体的な一歩を確かめておきます。

何を、いつ、どの場面で試すのか。そして、上司は何を支援するのか。

たとえば本人は、次の顧客打ち合わせで説明の順序を変えてみる。上司は、その前に必要な情報を確認できる担当者を紹介する。両者が担うことを分けると、面談のあとも動きやすくなります。

次回は、できたかどうかだけを点検せず、試して何が分かったか、条件が変わっていないかを聞きます。本人の考えが変わっていれば、一度決めた行動に固執する必要はありません。

記録も、何でも詳しく残すのではなく、双方が共有してよいと確認した議題と次の行動を中心にします。話した内容を別の場へ持ち出す場合には、扱い方を確認する配慮も欠かせません。

あなたの1on1では、面談が終わるとき、誰の言葉で次の一歩が語られているでしょうか。

いつもの1on1を、別の角度から見る

面談を続けているのに、本人が考える時間になっていない気がする。初回オリエンテーションで、最近の1on1のやり取りをお話しください。自分がどんな問いを置き、どこで答えを渡しているのか。コーチとの対話を体験しながら、ご自身の関わりを振り返る入り口にできます。

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