「みんな忙しそうで、声をかけづらい」

「説明するくらいなら、自分でやったほうが早い」

そうして仕事を抱えているうちに、本来、自分が向き合うべきことまで後回しになっていく。人に頼むのが苦手な方には、そんな場面もあるのではないでしょうか。

2026年10月31日の20周年記念イベントに向けて、私はボランティアスタッフの協力をお願いしました。受付、案内、誘導、クロークなど、当日のお手伝いが必要になったからです。

その募集では、お願いしたい役割に加え、13時までに来ていただき、21時まで会場にいられる方、という時間の条件を伝えました。講演や懇親会にも参加いただけること、参加費をいただかない代わりにお手伝いをお願いしたいことも書いています。

この一件を入口に、仕事でも「相手が判断できる頼み方」になっているか、考えてみたいと思います。

「手伝って」の中身を、相手が選べる形にする

「ちょっと手伝ってもらえますか」

そう言われたとき、相手には何が見えているでしょうか。資料を少し確認するだけなのか、一から作るのか。それだけでも、引き受けるために必要な時間は違います。

今回の募集では、「イベントを手伝ってください」だけで終わらず、受付や案内など、必要な役割を挙げました。何をお願いしたいのかが見えると、自分にできそうかを考える材料になります。

普段の仕事でも、まず「何を助けてもらうと、何が進むのか」を言葉にしてみてください。

たとえば、「来週の提案に向けて、資料を初めて読む人にも伝わるか確かめたい。構成への意見をもらえますか」。これは仕事の場面に置き換えた例ですが、目的とお願いする部分を分けて伝えています。

相手に全部を任せたいのか。一部分を担ってほしいのか。意見を聞きたいのか。頼む前に、自分の中でそこを確かめておくことが、最初の一歩になると思います。

「どこまで・いつまで」を、曖昧にしない

何をするかがわかっても、どれくらい時間が必要で、いつ終わるのかが見えなければ、返事に迷うことがあります。

今回の募集で13時から21時という時間を示したのも、参加を考える方に確認していただきたい条件だったからです。長い時間が必要なお願いであれば、その負担も含めて判断していただく必要があります。

仕事で頼む場合には、次の三つを確かめてみてはいかがでしょうか。

  • どこまでをお願いし、どこからは自分が担当するのか。

  • いつまでに必要で、どのくらいの時間を見込んでいるのか。

  • 難しい部分があったとき、何を相談・調整できるのか。

たとえば、「資料全体ではなく、構成の確認を30分ほど。水曜の午前までに意見をもらいたい。難しければ、確認する範囲か日程を相談したい」と伝えることもできます。

もちろん、時間の見積もりが違うこともあるでしょう。そのときに見直せるよう、「思ったより時間がかかりそうなら、一度声をかけてください」と添えることもできます。

何でも相手に合わせられるわけではありません。変えられない条件と、相談できる条件を分けておく。そのほうが、お互いに無理のない返事をしやすくなるのではないでしょうか。

頼んだあとも、相手の負担に目を向ける

もう一つ考えたいのは、相手が引き受けてくれたあとのことです。

「大丈夫です」と言ってくれたから、あとは任せきり。その人の仕事がどれほど増えたのかは、確かめない。そんな頼み方が続けば、助け合いが、特定の人の我慢に変わってしまうかもしれません。

以前の「真面目な人ばかりが、損をしていませんか。「優しい会社」の仕事の分け方」では、支える人の仕事や時間にも目を向けることをお話ししました。協力をお願いする今回も、その視点を持っていたいと思います。

引き受けるには何を後回しにする必要があるのか。予定より仕事が増えていないか。上司として依頼するなら、ほかの仕事の優先順位も一緒に調整できないか。引き受けてもらったあとにも、確かめられることがあります。

真面目な人ばかりが、損をしていませんか。「優しい会社」の仕事の分け方プロコーチジャパン · 読みもの

そして、難しいと返事をもらったときに、相手を責めないこと。頼む側に事情があるように、相手にも事情があります。断ることや条件を相談することができてこそ、協力の仕方を一緒に考えられるのだと思います。

今、あなたが一人で抱えている仕事を、一つ思い浮かべてみてください。

そのうち、誰かに協力をお願いしたいのは、どの部分でしょうか。目的、範囲、時間、相談できることを、相手が判断できる形で伝えられるでしょうか。

全部を一人で引き受ける前に、一つの具体的なお願いを言葉にしてみる。そこから、仕事の進め方を見直してみてもよいのではないでしょうか。


本記事は、山家正尚のFacebookでの20周年イベントのスタッフ募集をもとに、仕事の場面の例と実践の問いを加えて再構成しています。

一人で抱えている仕事から、話してみる

誰かに任せたいのに、頼み方が決まらない。そんなときは、いま抱えている仕事を一つ、初回オリエンテーションへお持ちください。何を手放し、どこは自分が担いたいのか。相手への伝え方を考える前に、ご自身が大切にしていることからお話ししましょう。

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