週末に、一人で出かける時間をつくりたい。でも、家族に家のことを任せるのは悪い気がする。仕事の勉強をしたいのに、同僚の頼みを断ってまで時間を取るのは、自分勝手ではないかと思う。

自分の希望を口にする前に、そうやって取り下げてしまうことはないでしょうか。

周りを大切にしたいという思いは、そのまま持っていてよいのです。ただ、その中に自分も含まれているかは、確かめたいところです。

仕事・人間関係・毎日の過ごし方を見直す12の視点の中から、今回は「自分を大切にしながら、自分の選択に向き合うこと」を考えます。

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自分の希望を持つことは、相手への命令ではない

「自分を優先する」と聞くと、周りを押しのけて、自分の思いどおりにする姿を想像するかもしれません。

でも、「土曜日の午前中は、自分の勉強に使いたい」と望むことと、「だから、残りのことは全部そちらで何とかして」と一方的に決めることは違います。

前者は、自分にとって大切なものを確かめることです。後者では、相手の事情や、選べる余地が置き去りになっています。

希望を持ったこと自体を、わがままと決めなくてよい。大切なのは、その希望をどう扱うかです。

相手にも予定があると知れば、時間や分担を話し合うことができます。今回は難しいとわかっても、自分の希望まで「持ってはいけなかった」と取り消す必要はありません。希望が見えているからこそ、別の日にできないかと考えられます。

自分をいつも最後に回すことと、状況を見て今回は譲ることも、同じではありません。自分の望みを知ったうえで選ぶのか、最初から望みを数に入れないのか。そこに違いがあります。

「大丈夫」と言った自分を、あとから置き去りにしない


たとえば、休みたいと思いながら、追加の仕事に「大丈夫です」と答えた場面を考えてみます。

引き受けてから苦しくなり、「どうして自分ばかり」と感じる。相手は、こちらが無理をしていることに気づいていないかもしれません。

ここで大切なのは、「自分で引き受けたのだから、最後まで黙って我慢する」と決めることではありません。自分の返答と実際の余裕が合っていなかったと認め、必要なら約束の内容を相談し直すことです。

相手がその返答を前提に予定を組んでいれば、変更の影響もあります。それを説明し、調整に関わる。自分の状態にも、相手との約束にも、両方に向き合う姿勢です。

自分を大切にすることは、その場だけ楽になる返事を選ぶこととは限りません。少し言いにくくても、今できることを正直に伝えるほうが、自分にも相手にも誠実な場合があります。

自分の選択に向き合うことは、すべてを自分のせいにすることではない

「自分の選択に責任を持つ」という言葉が、新しい我慢の理由になってしまっては本末転倒です。

仕事量や人員配置の問題、不当な扱いまで、一人で引き受ける必要はありません。断りにくい立場に置かれていたなら、その事情を抜きにして「自分で選んだ」と言い切ることもできません。

自分が決められることと、相手や組織に変えてもらう必要があること。その両方がある中で、今の自分は何を選べるのかを考えたいのです。

助けを求める、状況を共有する、いったん距離を置く。自分だけで解決しようとする以外にも、選択はあります。

また、選んだ結果が思うようにならなくても、それだけで自分の価値が下がるわけではありません。「この選び方では無理があった」と振り返り、次の選択を変えることができます。自分への尊重は、うまくできた日のご褒美だけではないのです。

自分にも相手にも、望みがあるという出発点

いつも希望を飲み込んでいると、自分でも何が嫌で、何がうれしいのかわかりにくくなることがあります。相手に合わせられることだけが、自分の役割のように感じられるかもしれません。

自分の希望に目を向けるのは、相手より偉くなるためではありません。自分も、思いを持った一人の人として、その関係に参加するためです。

「自分はこうしたい。あなたはどうだろう」。そこから始めると、どちらか一方が黙って引き受ける以外の関わり方を考えられます。

もちろん、話せば必ず折り合えるわけではありません。それでも、相手の納得を得るために自分を消してしまうことと、違いがあるまま話し合うことは違います。

自分を大切にし、その選択が周りにどう届くかにも目を向ける。この二つを一緒に考えることが、自分を優先することと、相手を顧みないことを分けるのだと思います。

いま「悪いから」と取り下げている希望があるなら、それは希望そのものがいけないのでしょうか。それとも、実現の仕方を相談する余地があるのでしょうか。

具体的なやり取りの中でこの考え方を深めるなら、頼まれごとを断ることと、相手を大切にすることをどう両立させるかも考えてみてください。

頼まれごとを断っても、相手を大切にすることはできるプロコーチジャパン · 読みもの

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