大きな仕事が終わり、周りにも喜ばれた。その日はうれしかったのに、翌日には「次も期待に応えなければ」と気持ちが急いている。少し休みたいはずなのに、また難しい仕事を引き受けてしまう。

頑張ることが好きだからなのか。それとも、頑張っていない自分になることが落ち着かないのか。同じ行動の中に、違う理由が重なっていることがあります。

仕事・人間関係・毎日の過ごし方を見直す12の視点から今回は、目に見える成果と、その奥で自分が求めているものの違いを考えます。

頑張っても満たされない人へ。仕事・人間関係・毎日の過ごし方を見直す12の視点プロコーチジャパン · 読みもの


同じ仕事でも、求めているものは同じとは限らない

新しい企画に取り組む二人がいるとします。一人は、その企画で実現できることに関心がある。もう一人は、難しい仕事を任されることで、自分が必要とされていると確かめたい。

外から見ると、どちらも熱心に働いています。成果も似ているかもしれません。違いは、行動の奥で何を受け取りたいかです。

もちろん、人の動機はそんなにきれいには分かれません。企画がおもしろくて、同時に評価もされたい。その両方があって自然です。「認められたい気持ちがあるから、本当にやりたいことではない」と切り捨てる必要はありません。

違いを考えるのは、自分の動機に善悪をつけるためではなく、成果が出ても満たされない理由を見落とさないためです。

仕事が終わったのに落ち着かないとき、まだ仕事が足りないのではなく、その仕事だけでは受け取れなかったものがあるのかもしれません。

成果を増やしても、安心が長く続かないとき


褒められると安心する。でも、その安心がすぐに薄れ、また評価が気になる。そうなると、達成は一つの喜びというより、不安をいったん静めるために欠かせないものになっていきます。

周囲が感謝していても、「このくらいで喜んではいけない」と自分で打ち消してしまうこともあります。次の仕事を成功させれば落ち着くはずだと思いながら、同じことを繰り返すのです。

こうした繰り返しは、承認だけに限りません。安心したくて何度も確認する、間違っていると思われたくなくて説明を重ねるなど、行動の奥で求めているものは人によって違います。

ただ、確認が多いというだけで「不安が原因だ」と決めつけることはできません。仕事上、本当に必要な確認もあります。行動の形だけを見て、人の内側を診断する話ではないのです。

ここで持ちたいのは、「目の前の結果を得ること」と「自分が必要としている感覚を得ること」が、同じとは限らないという見方です。

認められたい自分を、なくそうとしなくていい

人に認められたいと気づいた途端、「他人の評価を気にしない人にならなければ」と、別の頑張りを始めてしまうことがあります。

でも、人とのつながりの中で生きている以上、受け入れられたい、役に立ちたいと思うこと自体は、不自然ではありません。その思いを恥ずかしいものとして隠すと、かえって扱いにくくなることもあります。

大切なのは、その思いがあるために、どんな選び方を繰り返しているかです。本当は余裕がないのに断れない。反対意見を持っているのに、同意してしまう。そこに気づけば、行動の理由を一つ広く理解できます。

引き受けないことで関係が失われるように感じるときも、頼まれごとを断ることと、相手を大切にすることは両立し得ます。断るという行動だけで、人への思いやりがなくなるわけではありません。

頼まれごとを断っても、相手を大切にすることはできるプロコーチジャパン · 読みもの

自分が求めているものに気づくのは、欲求を消すためではなく、そのために自分を削り続ける以外の関わり方を考えるためです。

頑張りの量ではなく、その頑張りとの付き合い方

やりたいから頑張っている人は疲れず、評価のために頑張る人だけが疲れる、という単純な区別はできません。望んだ仕事でも疲れますし、期待に応えたことが喜びになる日もあります。

見るべきなのは、頑張った後の自分に、どんなことが起きているかです。喜びや納得もあるのか。休むと自分の価値がなくなるように感じるのか。結果がよかったという事実まで受け取れず、次へ急いでいるのか。

これは自分を分類するための採点ではありません。同じ人でも、仕事や相手、その時期によって違います。「私は承認を求めるタイプだ」と固定してしまうより、具体的な場面の中で理解していくほうが、自分の選び方につながります。

もっと頑張れば満たされる、という答えしか持っていないと、頑張りを増やし続けることになります。自分が何を求めているかも、話の中に入れてよいのです。

成果を喜ぶことと、成果だけでは埋まらない思いに目を向けること。その両方があってもよい。自分の努力を否定せずに、これからの頑張り方を考え直す余地があります。

繰り返している選び方を、一人では捉えにくいと感じる方へ。プロコーチジャパンでは、対話と実践を通じて、自分の生き方を学ぶ講座を用意しています。

頑張りの奥にある思いを、対話の中で理解する