新しい企画を提案したい。でも、質問に答えられなかったらどうしよう。もう少し経験がついて、自信が持てたら話そう。そう思っているうちに、次の会議も終わってしまう。
慎重に準備することは大切です。ただ、「うまくできると確信してから始める」という条件を置くと、初めてのことほど始めにくくなります。
仕事や暮らしを見直す12の視点の中から今回は、結果の見通しと、自分が選ぶ取り組み方を分けて考えます。

「できるか」は予測。「やるか」は選択

企画が通るかどうかには、内容のよさだけでなく、予算や時期、ほかの優先事項も関わります。自分が準備しても、結果を確実に決められるわけではありません。
一方、必要な情報を集めるか、考えを言葉にするか、提案の機会を相談するかには、自分で選べる部分があります。
「通る自信がない」という判断から、すぐに「だから提案しない」と結論づけると、結果が不確かなことと、自分の選択が一つに重なってしまいます。
成功を予測できることと、取り組むと決めることは、同じではありません。
「結果はまだわからない。それでも、この問題を放っておきたくないから提案する」。そんな選び方もあります。成功を確信しているから動くのではなく、自分が大切にする理由があるから動く、ということです。
怖さが消えなくても、姿勢は考えられる

挑戦すると決めた後も、緊張することはあるでしょう。そこで「まだ怖いのだから、本気で決めていない」と自分を疑う必要はありません。
気持ちが揺れることと、どう取り組みたいかを持つことは、両立します。不安を感じながらでも、わからないことを曖昧にせず伝えたり、相手の指摘を聞いたりすることはできます。
反対に、明るく振る舞い、「絶対に大丈夫」と言い続けていても、都合の悪い情報を避けていれば、取り組み方は不安定になります。前向きな姿勢は、嫌な気持ちを持たないことでも、問題を見ないことでもありません。
たとえば質問に答えられなかったとき、その場を取り繕う代わりに、確認して返答すると伝える。これも、自分で選べる姿勢です。「完璧にできる自分」でなければ参加できないと考えるより、できないことも含めて誠実に関わるほうが、次につながる場合があります。
自信は、行動の前に全部揃っていなければならない資格ではないのです。
決めることは、無理を続ける約束ではない

「やると決めたのだから、何があっても続ける」。そう受け取ると、今度は自分の選択が自分を追い詰めることがあります。
状況が変わったり、新しい情報がわかったりすれば、方法を変える、時期をずらす、いったん止めるという判断も必要です。結果に向き合うことは、最初の判断を永遠に守り続けることとは違います。
また、負担や損失が大きい挑戦では、準備や相談が欠かせません。自分の気持ちだけで周りを巻き込み、「覚悟があれば大丈夫」と進める話ではありません。
大切なのは、不安があるという理由だけで自動的に諦めるのでも、決めたという理由だけで無理を押し通すのでもなく、今わかっている条件の中で選ぶことです。
自分の希望を持つことと、その選択が周りにどう届くかに向き合うことは、一緒に考えられます。自分を尊重する姿勢には、自分の限界を正直に扱うことも含まれます。

うまくいかなかった後にも、自分で選べることはある

勇気を出して提案しても、採用されないことはあります。その結果を「やっぱり自分には無理だった」と受け止めたくなるかもしれません。
でも、一つの企画が通らなかったことと、自分には何もできないことは、同じではありません。内容が伝わらなかったのか、条件が合わなかったのか、今は必要とされていなかったのか。結果の中身を見なければ、次の選び方も見えてきません。
ここでも、「次は絶対に成功する」と思い込む必要はありません。「この意見は受け止める」「この点は考え直す」「別の形で伝えたい」。そうやって、結果を受けてからの関わり方を選べます。
自分が選ぶ姿勢は、成功した日にだけ持てるものではありません。結果がわからないときにも、思いどおりにならなかった後にも、持ち直すことができます。
自信がつくまで待つことに疲れているなら、成功の確信と、取り組む理由を分けてみてもよいのだと思います。今の自分にどこまでできるかはわからなくても、何を大切に関わりたいかは、考えられます。
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