今月の目標は達成できた。上司にも評価された。それなのに、帰り道で一つの商談が引っかかっている。契約を急ぐあまり、お客様が迷っていた点を、十分に話さないまま進めてしまった。

数字はよいのに、気持ちは晴れない。こんな違和感を「結果が出たのだから気にしなくていい」と片づけてしまうことはないでしょうか。

ここで考えたいのは、成果の大切さを否定することではありません。その成果が、どんな働き方によって生まれ、何を残しているかです。仕事や暮らしを見直す12の視点の中から、自分の思い、行動、周囲への影響を一緒に見ていきます。

頑張っても満たされない人へ。仕事・人間関係・毎日の過ごし方を見直す12の視点プロコーチジャパン · 読みもの


結果がよくても、納得できない理由がある

「相手が理解し、納得して選べる仕事をしたい」と思っている人が、説明を省いて契約を取ったとします。その人が引っかかっているのは、単に気分がよくないからではありません。大切にしたい仕事のあり方と、実際に選んだ行動が噛み合っていないのです。

この違いを見ないまま、次の成果だけを目指すと、同じ引っかかりが繰り返されるかもしれません。評価は上がっているのに、自分の仕事を素直に喜べなくなることもあります。

成果は、働き方を知る大切な情報です。ただ、その一つだけでは、仕事の全体は見えません。

売上に表れにくい納得や信頼も、仕事の中で起きています。数字にできないから重要ではない、と切り捨てずに扱いたいものです。逆に、違和感があるというだけで、その選択が間違いだったと即断する必要もありません。何が引っかかっているのかを、具体的な場面に戻して考えられます。

「自分は納得している」だけでも、足りない

自分の信念を守れていれば、それで十分とも限りません。丁寧な説明にこだわるあまり、必要のない打ち合わせを何度も設定して、相手や同僚の時間を奪ってしまうこともあるからです。

自分にとっての丁寧さが、相手にとっても助けになっているとは限りません。説明の量を増やすことと、相手が判断しやすくなることは、同じではないのです。

大切にしている思いを持ちながら、その行動が周囲にどう届いたかにも目を向ける。相手の反応を知って、方法を変えることは、自分の信念を捨てることとは違います。

仕事には、自分がよければ済むわけではない約束や責任もあります。誰かの見えない負担に支えられた成果であれば、その負担まで含めて見る必要があります。自分への誠実さと、周囲への誠実さを、切り離さずに考えるということです。

一度できることと、続けても大丈夫なこと


短期間の繁忙期に、互いに助け合って乗り切ることはあります。しかし、毎月誰かが深夜まで残ることでしか達成できない目標なら、その働き方が続いた先にも目を向けたいところです。

今日の達成だけを見ると成功でも、疲れた人が離れ、引き継ぎができなくなり、顧客への対応が難しくなるかもしれません。今の成果を、未来の無理で支えている場合があるのです。

これは、個人がもっと上手に気持ちを整えれば済む問題ではありません。人員や評価制度、業務量、権限に原因があるなら、組織としての対応が必要です。「自分の考え方次第」と引き受けすぎないことも、全体を見る姿勢に含まれます。

また、仕事では納得できていても、そのために家族との約束を何度も破っているなら、仕事だけを取り出して「うまくいっている」とは言いにくいでしょう。一つの場所での成功が、別の場所での無理とつながっていないか。時間の長さと、暮らしの広がりを含めて見ることができます。

大切にしたいことが、普段の選択に表れているか

どんな状況でも、すべてがきれいに揃うとは限りません。締切と品質、相手の希望と自分の余裕など、両立が難しい場面もあります。

そのとき、理想どおりにできなかった自分を責めるより、何を守ろうとして、何に無理が生じたのかを認めることが大切です。一度の例外と、無理が当たり前になっている状態も分けて考えられます。

たとえば冒頭の商談なら、契約できた事実だけで終わらせず、説明が足りなかった点に今から向き合う余地があります。その後の関わり方も、自分が大切にする仕事の一部です。

「顧客を大切にする」「暮らしを大切にする」という思いは、言葉だけでは伝わりきりません。その思いが、普段の予定や環境に居場所を持っているかという話にもつながります。

続けたいことを「時間が余ったら」にしない。予定と環境から考える習慣づくりプロコーチジャパン · 読みもの

自分の納得と、周囲への影響と、続いた先のあり方。その三つを含めて喜べる成果を考える。それは、成果を軽く見ることではなく、成果の意味を広く見ることなのだと思います。

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