自分にできることは少しずつわかってきた。でも、それを何に使いたいのかがはっきりしない。

得意なことを頼まれて、期待には応えられている。それでも、自分はどこへ向かいたいのだろうと立ち止まることがあります。

私は、「人間が生きていくうえで、最も大切にしなければならないことは何か」と問われたら、「立志」と答えます。今日は、この言葉を、自分の強みの使い道とつなげて考えてみたいと思います。

「何ができるか」と「何を志すか」

強みを知ることは、自分の持っているものに気づくことです。では、それをどこへ向けるのでしょうか。

人の話を聞くこと、物事を整理すること、新しいものを考えること。同じ力でも、誰と、何のために使うかによって、日々の取り組みは変わります。

私が大切にしている立志は、その方向に関わるものです。自分は何を志しているのか。何のために取り組むのか。強みを活かしたいという思いの、もう一歩先にある問いです。

この考え方には、森信三の『修身教授録』から影響を受けています。同書は、教育者を志す学生たちに向けた修身の講義を収めた本です。出版社の紹介でも、その成り立ちを読むことができます。

ここでお話ししているのは、本の一節をそのまま引用したものではなく、私が影響を受け、大切にしている考えです。自分の強みを知るだけでなく、何を志して生きるかにも目を向けていただきたいのです。

生い立ちと、ときめきに耳を傾ける

私は、人間は意味があってこの世に生まれてきているのだと思っています。

その意味は、自分の生い立ちをたどることで思い出せるものかもしれません。あるいは、ときめきを導きとして、これから作り上げていくものなのかもしれません。私は、どちらでも構わないと考えています。

だから、最初から人生を説明する大きな言葉を見つけなければならない、と構えなくてもよいのだと思います。自分が何に心を動かされてきたのかを、具体的に振り返ってみてください。

どんな経験が、今の自分の考え方につながっているでしょうか。誰かとの出会いによって、大切にしたいと思うようになったことはあるでしょうか。これから関わってみたいことは何でしょうか。

たとえば、人に話を聞いてもらって助かった経験から、今度は自分が誰かの一歩を支えたいと思うこともあるでしょう。知らなかった世界に触れたときのときめきから、学び、伝えることを続けたいと思うかもしれません。

これは、志の正解を示す例ではありません。同じ経験をしても、そこから何を受け取るかは一人ひとり違います。自分の実感に合う言葉を探してみてください。

強みを見つけるための振り返りでは、繰り返してきた行動や興味を書き出しました。その材料に、「その中で、これからも大切にしたいものは何か」という問いを重ねてみるのです。

「自分の強みがわからない」とき、何を振り返ればいいのかプロコーチジャパン · 読みもの


自分が、自分に期待していること


仕事では、人から求められていることを考える機会が多いと思います。それは大切なことです。ただ、それだけでは、自分自身が望んでいることを見失うこともあるかもしれません。

あなたが、あなたに期待していることは何でしょうか。

もっと人の役に立ちたい、という思いがあるなら、どんな人の、どんな場面に関わりたいのでしょう。学び続けたいなら、その学びを通して、どんな世界に近づきたいのでしょう。

すぐに一生変わらない答えを出そうとせず、今の自分の言葉で書いてみてください。そして、その方向へ進むために、自分の強みをどう使えるかを考えます。

私は、意図を持ち、意志を持って取り組むことが、よりよく生きること、充実した人生につながるのではないかと考えています。

志は、言葉にして終わるものではないでしょう。向かいたい方向を持ち、日々の選択や仕事に反映していく。明日の仕事で強みを使うことも、その小さな実践になります。

強みはわかった。では、明日の仕事でどう使えばいい?プロコーチジャパン · 読みもの

あなたは何を志し、あなたの強みを何に活かしていきたいのでしょうか。あなたが、あなたに期待していることを、ぜひ聞かせてください。

何を志すのか、自分の歩みから考える

できることの先に、何を実現していきたいのか。まだ立派な言葉になっていなくても構いません。初回オリエンテーションでは、これまで心が動いた経験や、これから大切にしたいことをお話しください。ご自身の志と日々の選択をつなぐ、その入り口を一緒に探ってみましょう。

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