自分なりに振り返っても、同じ答えに戻ってしまう。人に褒められても、「それくらい、誰でもできる」と思ってしまう。
強みを知るとき、自分一人の見方だけでは気づきにくいところがあります。そこで私は、トレーニングを受けたコーチからフィードバックを受けることを大切にしています。
ただ、親身になってくれる人なら誰でも同じ、というわけではありません。私が大切にしているのは、相手の状況に巻き込まれず、フラットな「鏡」のように関わることです。
評価を決める前に、見えたことを返す

鏡のような存在とは、コーチが自分の答えに相手を当てはめるのではなく、その方と向き合う中で感じたこと、見えたことをお伝えできる存在です。
たとえば、ご本人は「説明がうまくない」と話していても、具体的な経験を聞くと、相手の理解に合わせて何度も説明を工夫している。その姿に気づくことがあるかもしれません。
そのとき、「あなたは説明が得意です」と結論だけを渡すより、「相手がわかるまで、伝え方を変えていたのですね」と、行動に目を向けてみる。
これは関わり方を考えるための一例ですが、自分では数えていなかった行動が言葉になると、ご本人の見え方が変わることがあります。そこから、どんな思いがあったのか、別の場面でも同じことをしているのかを確かめられます。
フィードバックは、コーチの見方をそのまま正解にするためのものではありません。自分の実感と照らし合わせ、新しい気づきを得るための材料です。
その材料を持ち寄るためにも、生い立ちの中で繰り返してきたことや、ときめくものを書き出しておくと、対話を具体的な場面から始めやすくなります。

鏡になる側にも、自分を知る仕事がある

私は、コーチングの技術は、原理原則を学び、反復練習をし、フィードバックを受けることで高められると考えています。
同時に、技術だけでは済まないこともあります。コーチ自身が自分を理解し、抱えている課題に向き合うことです。
相手のためだと思っていても、コーチ自身の「役に立ちたい」「何とかしてあげたい」という思いが、関わり方を左右することがあります。自分の側に起きていることに気づけなければ、フラットな鏡でいることは難しくなります。
私自身、コーチングを始めて間もない頃、自分の課題を十分に理解しないまま関わり、支援を抱え込んで疲弊した経験があります。その際には、心理の専門性の高いコーチから助言と支援を受けました。
そこから、「契約してくださっているのだから、親身にならなければ」という思いだけでは、適切な支援にならないことを学びました。自分の関わり方や、引き受けられる範囲を見極める必要があります。
自分の課題を正面から見つめることは、容易ではありません。けれど、相手の気づきを支えたいからこそ、コーチ自身にもその仕事があると私は考えています。
自分を理解し、整えておくことは、対話の中で生まれる微細な感覚に気づくことにもつながります。相手の話を聴きながら、コーチの中には何が浮かんでいるのか。直感やひらめきを対話に持ち込むときの、私自身の経験を書きました。

強みを発揮するための基盤にも目を向ける

強みを知れば、すぐにそれを発揮できるとは限りません。一人ひとり、置かれている状況も抱えている課題も違います。
たとえば、周囲に応えようとするあまり、自分が何を望んでいるかを考える余裕がなくなっているとしたら。「もっとその強みを使いましょう」と促す前に、今の負担や関わり方を確かめる必要があるでしょう。
私が「基盤を整える」と言うときは、強みの名前だけでその方を見ず、今、何を整えることが必要なのかにも目を向けています。すべての課題がなくなるまで、何も始められないという意味ではありません。
また、必要な支援がコーチの専門性の範囲を超える場合には、その範囲を明確にし、適切な専門家につなぐ視点も欠かせません。国際コーチング連盟のガイドでも、専門範囲を超えるニーズへの対応が扱われています。
成長を支えるには、対話に加えて、経験や、心理学・哲学・宗教学といった人間学の観点からの助言、学びが役立つこともあると私は考えています。どの働きかけが必要かは、その方によって異なります。
あなたが今ほしいのは、強みの名前でしょうか。それとも、自分の姿や今の状況を、一緒に確かめてくれる相手でしょうか。
対話という「鏡」を体験してみる
自分の姿や今の状況を、誰かと一緒に確かめてみたい。その思いがあれば、初回オリエンテーションでお聞かせください。評価や答えを急ぐ前に、何が起きていて、何を大切にしたいのかを話す時間として、コーチとの相性も確かめていただけます。
自分の価値観、習慣、生き方や人生の方向性を見つめたい方。 申込画面で選び直すこともできます。

